自動車保険

フランスには3700万台以上の車両があり、年間450万件以上の交通事故が発生。それが原因で8千人近くが死亡、17万人以上が怪我をしているという数字が出されています(2001年)。これは、人口、および車両の数から比較すると、日本の倍近い死亡者数となっています。日本から来られた方々にとって慣れない左ハンドルの運転や、悪名高いパリジャンヌ・パリジャンの運転など、フランスで交通事故を起こさない為には、細心の注意を払って運転する必要があります。

2−1 フランスの強制賠償責任保険
フランスで車を購入し運転するには、フランスの強制賠償責任保険に加入しなければなりません。これは、人身(歩行者、相手方の車の運転者など)、対物(自分の車で損害を与えたすべての物、相手方の車など)、搭乗者(自分の車に搭乗していたすべての人、家族を含む、運転者は含まず)に対する補償保険と、事故発生時の民事、刑事訴訟のための弁護保険からなっています。日本の強制賠償責任保険との違いは、対物、搭乗者の補償、弁護保険が付加していること、保障金額(人身の場合は無制限、対物の場合は1億Euroまで)、そして一般の保険会社がこの保険を管理、取り扱っていることです。

2−2 各保険会社のパッケージ自動車保険
各保険会社は、強制賠償責任保険を軸にして、いろいろなオプションを付加した保険商品をパッケージとして販売しています。今回は、Allianz社を例に、一部ご紹介します。(Formule C1, C2, C3はAllianz社の商品名)

A. Formule C1
強制賠償責任保険に最低アシスタント保険が付加されたもの

B. Formule C2
Formule C1 に次のオプションを付加したもの
* 車の盗難、火災、暴風雨補償保険
* 自然災害時補償保険(国が認めた場合、免責あり)
* テロ、蛮行行為補償保険
* 車の備品の盗難補償保険(上限額 99,999Euro)
* カーラジオなどの付帯設備の盗難補償保険(上限額 99,999Euro)
* 電気系統による火災補償保険
* ガラス破壊補償保険(フロントグラス、ヘッドライトなど)

C. Formule C3 (オールリスク 免責あり)
Formule C2 に車両保険が付加されたもの
注意)Formule C3 の免責部分をなしにすることも可能です

2−3 オプション保険について
パッケージ保険には、さらに次のようなオプションを付加することが可能になっています。
* 運転者補償保険
* アシスタント保険の補償引き上げ
* 車の備品の盗難補償保険の補償引き上げ
* カーラジオなどの付帯設備の盗難補償保険の補償引き上げ
* 事故、故障時の代車補償保険
* 事故発生時の死亡、医療、障害補償保険
* Etc

2−4 保険の加入方法と自動車保険料
1)保険の加入方法について、二つのケースについて説明してみましょう。
A. すでにフランスで自動車保険に加入済みで、新たに自動車保険に加入したい方
1) 車両登録書(CARTE GRISE)、運転免許証(フランスの免許証でも日本の国際免許証でも可)、運転履歴書(RELEVE D’INFORMATIONS)のコピーを用意し、希望する保険内容を保険代理店に伝えれば、保険代理店はこれらの資料を基に見積もりを作成する
2) それに納得し契約書にサインをすれば保険加入完了
* 運転履歴書は、現在自動車保険に加入している保険代理店に依頼すればすぐに作成し送ってくれる

B. 日本から来たばかりで初めてフランスで自動車保険に加入する方
1) 車両登録書(CARTE GRISE)、運転免許証(日本の国際免許証で可)のコピーを用意する
2) 日本で自動車保険に入られていた方は、その保険会社に英語の(英語が無理な場合は日本語)無事故割引率証明書の作成を依頼する
3) これらの書類を保険代理店に提出し、希望する保険内容を伝えれば、保険代理店はこれらの資料を基に見積もりを作成する
4) それに納得し契約書にサインをすれば保険加入完了
* フランスと日本では無事故割引(ボーナス)システムが違う為、日本において50%の割引が受けられていたからといって、フランスで無事故ボーナスが50%になるとは限らない

2)フランスの自動車保険は非常に自由化が進んでいる為、次の各事項により保険料に大きな差が出てきます。
* 保険会社
* 保険代理店
* 主運転者の性別、年齢、運転経験歴、職業、住所
* 主な車の用途(通勤、業務など)
* 無事故ボーナス(日本では無事故割引率、等級で表している)
* 車の種類、ガレージの有無
* 年間の走行距離
* 限定の有無(運転者、年齢、免責など)
* ナンバープレーの違い、CDナンバープレートなど
* Etc

3)フランスの自動車保険の保険料は、上記項目の違いなどで大きく上下するので、保険代理店にいろいろな保険会社の見積もりを調べてもらう価値は大いにあると思われます。しかし、多少の保険料の差ならば、事故などが発生した場合に、迅速且つ責任を持って対応してくれる保険会社、保険代理店を選ぶことが賢明だと思われます。