積立型養老保険
日本、フランスのみならず、全世界的に低金利政策がとられています。ご存知の通り、日本ではコンマ以下の金利ですし、フランスの金利も数ヶ月前に引き下げられたばかりです。
このような状況の中で、皆様の貴重な資産を安全に増やしていくにはどうしたらよいのでしょうか。フランスの場合も株式、債券などは大きく増えるかもしれませんが、それには危険も伴います。銀行の定期などは安全ですが、こちらは何分、金利が低い……。
こういった悩みをお持ちの方々にお勧めしたいのが、フランスにある積立型養老保険(Les Assurance Vie Capitalisation)です。今回は、積立型養老保険の概要と利点などをご説明します。
1 積立型養老保険とは?
積立型養老保険は生命保険の一種で、非常に積立性の高い保険商品です。積立性が高い代わりに、契約者ご本人が万一死亡された場合には、その時点まで積み立てられた金額+金利のみが指定受取人に支払われます。(つまり、積み立てたお金がそのまま支払われるだけで、+αはなしです)これが通常の死亡生命保険とは大きく異なる点です。新しい商品の中には死亡された場合、その時点までの積み立てた金額+金利+25%が指定受取人に支払われる商品もあります。
2 積立型養老保険の利点は?
高利回り
一般の銀行、郵便局の金融商品に比べて高利回りですAllianz&AGF社の積立型養老保険Gaipareの場合、2013年度実績で金利は3.2%です。
積立方式が自由に選択できる
毎月、3ヶ月毎など定期的な積立や、不定期な一時積立も可能です。もちろん、定期積立、一時積立の併用も可能です。
積立金額も自由に変更できる
積立金額の変更も自由です。また、積立金をゼロにして、定期積立を一時的に休止することもできます。その逆に定期積立を休止した後、積立を復活させることも自由で、いつからでも可能です。
8年以上の積立は、マル優扱い
8年以上積み立てれば金利にかかる税金が免税されます。昔、日本で言われていた「マル優扱い」になります。4年以上積み立てた場合は金利にかかる税金の50%が免税されます。
途中解約OK、違約金ナシ
何らかの理由で契約を途中解約しても、違約金、手数料は一切かかりません。また、積立金額の一部を引き出すことも可能で、それに対する手数料などもありません。
満期後の受け取り方法も自由に選択
満期後の受け取り方法は、一時金、年金方式、その併用など自由に選択していただけます。年金方式の場合は、ご本人だけでなく、ご本人死亡後はその配偶者に年金が引き続き支払われるようにするオプションもあります。
万一死亡された時の保険金は非課税扱い
ご契約者が万一死亡した場合、支払い保険金は、1人当たり約15万ユーロまで相続税が免税されます。配偶者と子供2人の場合は、合計で約45万ユーロまで相続税が免税されることになります。
個人事業主の場合は法人税の減税対象に
個人事業主が受け取り方法を年金方式にした場合、積立金額全額が法人税の減税対象になります。(詳しくは「マドラン法について」をご参照ください)
3 積立型養老保険の加入条件は?
9/11のアメリカ同時多発テロ以降、多くの国が、テロリストのマネーロンダリング、テロリストへの資金供与を防ぐため、金融商品や生命保険などの加入に色々と制限を設けるようになりました。フランスで積立型養老保険に加入できる条件は、下記のようになっています。しかし、フランスに在住している日本人の方はほとんど問題はありません。
- フランスに居住している方
- フランスに銀行口座を持ち、チェックでの支払いが可能な方
- 有効な身分証明書のコピーを提出できる方
4 積立型養老保険の賢い利用方法は?
ある程度のまとまった金額を4年以上寝かせておける方、または4年以上に渡って一定金額を定期的に積み立てることができる方にはお勧めです。8年以上になれば「100%マル優」になるのでさらにお得になります。ただし、4年未満の場合は、金利にかかる税金がありますので、金利自体は積立型養老保険の方が高くなりますが、銀行、郵便局の「マル優」商品の方が有利になります。
お子様の名前でも契約できます。その場合、契約期間を長期にしておけば、お子様が成長されてから、すぐに「マル優」扱いの金融商品を利用できることになります。
お客さまの財産である現金や預金を、円と円以外の主要通貨(Euro)で所有することは、リスク回避の有用な方法です。
フランスで、ある程度まとまった財産をお持ちの方にとっては、万一の時、相続者に対する相続税の減税になります。ちなみに、銀行、郵便局の商品、株式、債券などはすべてその価値の100%に対して相続税が課せられます。
5 積立型養老保険はどこで加入できるのか?
積立型養老保険は保険商品ですので、保険会社、保険代理店で加入することができます。その際の注意点をお知らせします。
保険会社とは長期的なお付き合いになるので、加入する前、そして加入してからも、その保険会社の業績などを注意して調べる必要があります。
保険会社や保険代理店への手数料などを比較する必要があります。わずかな手数料の違いでも、長期に渡れば複利で金利の差が出てきますので、10年、20年後には大きな差になります。
銀行でも加入手続きが可能です。銀行が、その子会社である保険会社の保険代理店となり、その商品を販売しているからです。この場合、銀行という安心感はありますが、金利や手数料などの面で不利になることもあります。
積立型養老保険といっても、リスクが少ないものから、リスクはあるもののハイリターンを期待できるものまで、さまざまです。ご自身がどのような積立型養老保険に加入するのか、すでに加入しているのか注意が必要です。
(FOND DE EUROS, PRUDENT, EQUILIBRE, DYNAMIQUEなど)右に行くほどリスクの高い商品です。
※ 積立型養老保険の運用、加入条件等はAllianz&AGF社のものを引用しています。
「マル優」と説明しましたが通常の金利にかかる税金が免除されるものです。CSG等の非課税にならない税金もあります。また、引き出す時の金利分がお一人4600Eurosを超える分については超過した金利分に7.5%の税金が掛かります。